2007年4月25日~28日に代々木八幡区民会館で行なわれた渡辺文樹監督作品の上映会に行ってきた。

新宿靖国通りに掲示された告知ポスターの前で記念撮影!
4月25日 PM7:00『御巣鷹山』
4月26日 PM2:00『ザザンボ』
4月27日 PM2:00『罵詈雑言』 4:30『腹腹時計』 7:10『御巣鷹山』
4月28日 PM7:00『御巣鷹山』
各作品 大人1200円 学生1000円
主催:航空機事故を考える会
私が最初に観た渡辺文樹監督作品は『ザザンボ』。13歳くらいのときに栃木県宇都宮市の公民館で鑑賞した。その時は子どもだったけど、見てはいけないものを見てしまったようなショックを受けると同時に、何とも言えない凄みに圧倒され、たいへん感銘を受けたことをよく憶えている。東京在住の私にとって、今回は、数年前に長野県の上映会場で『腹腹時計』を観て以来、久々に訪れた渡辺文樹監督作品を上映会で観るチャンスなので、はりきって参加してきた。

会場となった代々木八幡区民会館。「航空機事故を考える会」と書かれているホワイトボードがあやしい。渡辺文樹監督作品の場合、興行形態そのものがエンタテインメントなのかもしれない。

自身で映写機を回す渡辺文樹監督。35ミリで撮っているが上映する会場がないので16ミリにして上映しているらしい。私は今回の「渡辺文樹特集」においては、4日間のべ6作品をすべて観たのだが、ほぼ毎回最後部座席に座ったので、視界の左側に映写機を回す渡辺文樹監督が、右側にスクリーンが入ってくる、ライブ感満点の鑑賞となった。特筆すべきは『御巣鷹山』の音響。渡辺監督自身が上映中絶えずラジカセを操作し、タイミングを見てカセットテープ(磁気テープ)の再生ボタンを押している。フィルムの音声記憶部分(サウンドトラック)に入っている音は主に役者の台詞などで、前方のスピーカーから出ており、カセットテープ(磁気テープ)に入っている音は主に効果音で、後方のスピーカーから出ている模様だった。映写機とラジカセを両刀使いで操作するDJならぬFJ(フィルム・ジョッキー)っぷりがカッコよかった。

今回の「渡辺文樹特集」のメインは新作『御巣鷹山』なので、監督へ何か『御巣鷹山』にちなんだプレゼントをしようと思い、有楽町の「JALプラザ」でJALグッズを購入。最終日の帰りがけ、監督へJALグッズ(JALひこうきマグネット、JALクリアファイル、JALボールペン、JAL機内食らーめん、JAL機内食うどん、JAL機内食そば、ゼンマイ仕掛けのJAL飛行機おもちゃ)を贈った。「真面目な社会派映画なのにこんなにふざけたプレゼントを贈って大丈夫だろうか」とちょっと心配だったのが、プレゼントをお渡しした瞬間、監督は爆笑してくれたのでホッとした。現在監督は小さいお嬢さん(『御巣鷹山』にも出演している渡辺不同ちゃん)をお持ちなので「おもちゃ類はお嬢さんにどうぞ」と言っておいた。それにしても「不同」という名前をつけるあたりがさすが渡辺文樹監督である。お嬢さんの名前を尋ねたところ、監督の奥さんが「不可能の『不』に『同じ』と言う字で『不同』と言います」と答えてくれた。同じものを見つけることが不可能…渡辺文樹監督らしい名づけ方だと思った。渡辺文樹監督がフィルムを担ぎ手製のポスターを貼りつつ全国をまわり自主制作映画の上映を続けている唯一無二の存在である点が、私が渡辺文樹監督作品に惹かれる理由のひとつだ。

渡辺文樹作品に登場する役者はたいてい素人の方だが、私は、俳優渡辺文樹の演技はナチュラルでけっこうイケていると思っていた。そして、世の中には映画を自主制作するための資金を調達する手段として俳優をやる監督もいる。そこで、監督に「まさかとは思いますが、渡辺監督は他の監督の作品に俳優として出演するご予定はないんですか?」と訊いてみたら、「奴隷になるつもりはない」とのことだった(笑)。他にも、現在監督が福島県内の自然豊かな土地の山小屋に住んでいること、今回『ザザンボ』を上映していたら涙が出そうになったことなど、また、監督の奥さんからはご長女(不同ちゃん)は医師の力を借りずに自宅で出産しとり上げたのは監督だったことなどいろいろなお話をうかがった。


『ザザンボ』パンフレット、今回手に入れた『御巣鷹山』ポスター、数年前の上映会の際手に入れた『腹腹時計』ポスター、そして初日に撮った写真にサインをいれていただいた。『腹腹時計』の中に「やらないならやらないし、やるならやる。0か10かしかない。」という旨のセリフが登場するが、これが渡辺文樹監督の姿勢を要約しているような気がする。極端さ生真面目さとユーモアが渾然一体となった、渡辺文樹監督にしか出せない味わいを堪能した4日間だった。